駒桜将棋まつり in 神戸 (2011.8.20) (byドクター尼子、photo by ひーちゃん)

震災チャリティ以来、久しぶりのイベント参加です。
岡山から姫路まで新幹線。そこから神戸線に乗り換え、新快速で神戸まで。
初めてハーバーランドへ来ましたが、でっかい施設です。
『スペースシアターって、どこなん?』
こりゃあ、迷子になりそう・・・。
キョロキョロしながら歩いて行くと、運良く会場への案内板を見つけました。

開演前の会場は、まだ、のんびりした雰囲気で、復興支援扇子の販売や駒桜会員の受付などが行われています。
『ひーちゃんさんたちは・・・?』
と捜すと、扇子販売の所に、ひーちゃんさんと橙さんを発見。
「やー、久しぶり。」
たこやきメイト、笑顔の再開です。
こうやって揃うと、山崎先生参加のイベントに来たなあという実感がします。
西瓜さんも、もうすぐ着くとのことでした。
前から4列目に並んで座って、開場を待ちます。
かたかごさんも、お友達と来ていました。
最前列に陣取っていますから、さらに気合いが入っていますね。

「あっ、山崎先生、上下白のスーツですよ。」
ステージ袖の控えに入る姿を見つけたひーちゃんさんが、教えてくれました。
『白のスーツ?!』
一瞬、神吉先生の上下黄色のスーツ姿が浮かんで・・・。
神吉二世には、ならんといて下さいね(笑)
出場棋士、壇上に勢ぞろいからイベントが始まります。
女流棋士は、着物や浴衣姿で美しいですね。
男性陣は、3人紺のスーツ姿の中に、薄いベージュのスーツ姿がまぶしい山崎先生が、いやがおうでも目立ちます。
「NHKの講座でも見ましたよ。自前だったんですね。」
とひーちゃんさん。

イベント後の山崎先生談。
「持っているスーツの中では、細身の方なんです。
対局では、もっとゆったりしたスーツしか着ないので、今日はこれでいいやと着て来ました。」
「でも、女流のイベントなのに、目立ち過ぎて、まずかったですね(笑)」

いやいや、イベントなんですから、華やかになっていいと思います。

最初は、井道初段と室谷初段のフレッシュ対局。
解説の福崎九段が、軽妙なトークで会場を笑わせて下さいます。
しかし、一番笑っていたのは、聞き手の矢内四段だったかも。
山崎先生は、観客席の後方で、1回目のグルグル指導対局に参加されていました。
たこやきメートには、メインを前に、のんびりとした時間です。

昼食休憩を挟んで、いよいよ午後の部、めっちゃワル講座の開幕です。
アシスタントに西川四段がついています。
「プロ棋士といえども、時にはとんでもない手を指しています。
その中から学ぼうという講座ですが、気楽に聞いて下さい。」
最初に持ってきたのは、みなさんもご存じの弟弟子の将棋でした。
「才能があり過ぎるんですね、彼は。」
「▲78同玉と馬を取って、△67歩成(または△38飛)に▲87玉と逃げるところを、馬を取っていながら、いきなりの▲87玉!」
将棋ファンならよく知っている反則負けで、開場は大笑い。
「ここでの教訓は、”王手には、取るか逃げるか。プロでも、ルールを守らなくてはならない”ということですね。
 ここでは、それだけです。」



「次は、数十年前の将棋です。」
山崎先生と西川四段とが盤面を作り直しますが、なかなか並びません。
「手作りで図面を書いて来ましたが、そんなに並ばないかなぁ?」
西川四段、大盤に張り付けてあった図面を手に取り、並べ直します。
「ひとりでやった方がよかった?」
「いえ、そんなことは。」
そういうやり取りもクスッと笑えます。
その将棋、後手の王は53にいて、▲31角と打たれたら負けの局面です。
適当な受けもないので、形作りに△28飛車と王手(先手玉は48)をかけました。
「普通、▲38角と受けるのが平凡な手。でも、攻めに使う角がなくなりますから、強い人は▲39玉と引きます。
 それで何ともないのですが、大先輩の指した手は・・・。」
「わかりました。ここで▲31角。」
「正解です。これに△42角と受けてくれれば、先手の勝ちですけど(笑)、そうはならないですね。
 しかし、ここで先手の王をむしり取るようにして勝たないところが、大先輩の偉いところです。
 まず、『すまんな。』と一言。それから、『わしも生活が苦しいんや。』と言ってから、やおら先手の王を取ったんですね。すばらしい!」
会場、大笑い。
「ここでの教訓は、”王手に王手のお返しはいけない。王手には受けるか逃げるかしましょう”ということです。」

「3つ目は、穴熊の将棋です。」
並べられている間にも、先手は△87桂と打たれると即詰みの形とわかります。
「△66角と後手が打った(△87桂狙い)ところです。
 先手は、▲41飛成と金を取ると、後手玉が詰めろになります。プロとしては、気持ちのいい手ですね。」
「それで、▲41飛成と指したんですね。」
「はい、指しました。穴熊は、固いですからね。
 でも、よく見ると、歩の位置が86で、87に空間があります。これは△87桂まで。
 △66角打は、桂打ちの狙いだけなので、気がつきそうなものですけど・・・。」
会場の笑いを誘います。
「ここでの教訓は、”欲に目がくらんではいけない。必ず一度は自玉を見ましょう”ということです。」

さらに講座は続きます。

「4つ目の将棋は、急戦から、後手の王が53に吊り出されていますが、先手陣は安泰です。
ここで、飛車を使って、さらに後手玉に迫りますが、打つ場所が、41、51、61と三か所あります。
プロは▲51飛と王手をかけたりしません。△42玉で難しくなりますからね。
▲61飛と打つのが、▲31飛成(銀取り)を狙って普通で、これなら何ともありませんでした。
ところが、この先生、△42玉と引かせたくなくって、▲41飛と指してしまったんです。」
もう会場も、盤面をみて結末に気がついて、ざわざわとしています。
「そこで声がしていますが、そう、△14角と打つと、皆さんの大好きな王手飛車取り!です。
プロは、王手飛車をかけさせて勝つといいますが、ここは純粋な王手飛車取りで、先手は”投了”となりました。」
「感想戦が聞きたかったですね。」と、山崎先生は会場を笑わせます。
「ここでの教訓は、”角のラインには気をつけろ”ということです。」

「5つ目の将棋は、終盤、▲53飛成に適当な受けもなくて、△41玉と逃げたところです。
57にいる香車が利いているので、このまま、▲52竜、△同金、▲同銀成、△31玉、▲41金迄の詰み(23に歩がいて、22に逃げられない)になっています。
でも、この先生は、もっとかっこう良く詰ませてやろうと思ったんですね。
▲51竜、△同金、▲同香成、△同玉、▲52金迄の方がカッコいいだろうと。」
すでに会場から笑いがおこっています。
実は、35に角がいて、57の香車が動くと、先手の玉が取られてしまう位置関係なのです。
「▲51竜、△同金まで指して、先生も気がつきました。『ああ、香成りと行けない!』
 隣で見ていた対局者が、笑いをこらえきれずに、外へ出ていったという話です。
 対局室では、笑えませんものね。」
会場は大笑いです。
「ここでの教訓も、先ほどと一緒です。”王手の角のラインは気をつけろ”ですね。」

「次は、自分の将棋です。
 当時は千日手が大嫌いで、無理矢理に打開して負けにしてしまい、後悔していました。
 ▲21成香、△同玉、▲41飛から詰むので、詰めろ逃れの詰めろで、△48飛(41飛車を打たせない)と形作りをしました。
 しかし、▲58歩打ちに△同飛成とすると負け(41飛車を打たれてしまう)なので、▲58歩で投了しようと思っていました。
 ところが、先生は、歩ではぬるいとばかり、▲58金のタダ捨て!と来ました。
 これには僕も『ん!?』と思ったのですが、△同飛成としました。
 そこで、▲21成香とされたのですが、△同玉、▲41飛に△31銀(△31香は、▲33桂以下詰み)と移動合いをすると、何と▲32銀以下詰まなくなりました。」
西川四段、▲32銀以下、△同玉、▲43金、△21玉と進めてます。
「ん?これは、・・・詰んでますね。」
「?」
「西川君、逃げ方を間違えました。君だったら詰んでるよ(笑)」
「あ、△同玉ではなくて、△22玉(31に移動した銀がいた場所に逃げられる)ですね。」
「その後は、上の方へ王が逃げて、逆転勝ち。
 58で捨てた金があれば、銀の代わりに▲32金とされて、玉が上へ逃げられませんでした。」
大先生にも、盲点はあるものですね。
「教訓は、”綺麗に決めようとするときは、気をつけて下さい”ということです。」

「最後は、才能あふれる弟弟子の将棋をもうひとつ。
 これは、ポカをしたのですが、その後がすごいです。」
後手玉が71にいて、43の桂、53の金とで先手が攻めている局面でした。
▲92銀△同香▲91銀で、82に玉を逃がさないという手筋が使えそうなところです。
「普通なら、▲51銀と打って、数の攻めをすれば勝ちとわかります。
 それをかっこよく▲92銀△同香としたのはよかったのですが、この場合は、△43角行と桂馬を取られると、攻め駒が足りなくなって、玉に逃げられてしまう大ポカでした。」
 ところが、彼のすごいところは、予定変更のはずが、読み筋とばかりに▲62銀がノータイム指し。▲62銀と行くなら、▲92銀の前に行けばいいのに。」
「普通は、ポカで頭が真っ白になりますけどね。」
「そうならないのが、彼のすごいところです。
 後手玉を81から91へと追い詰めて、71銀と72金とで詰めろをかけてしまいました。
 ちょうど『92に香を吊り上げたことで、92玉から94歩と粘られなかったでしょ。』と言わんばかりです。
 ポカで相手に希望を持たせておいて勝つ。一番嫌われる勝ち方ですよね(笑)」
会場、大受けです。
「ここでの教訓は、”駒がいっぱいあるときには、数の攻めをお勧めします”ということです。」

以上、楽しい講座でした。

図面がなくて分かりにくくて、すみません。
雰囲気だけ、お楽しみ下さい。

次の演目は、フィーリングカップル!?ペアマッチ。
『山崎先生は出ないし』と思っていると、山崎先生もステージに登場です。
女流三人と棋士三人が、札を上げてカップルになった二組が対局というルールでした。
司会の村田二段が、「山崎先生から、自己PRをして下さい。」と促します。



「日本将棋連盟七段、山崎隆之と申します。
棋士14年目で、30代とこの中では年上ですが、その分、力戦形が得意で、(ペアになったら)普段指せない将棋が指せるかもしれません。よろしくお願いします。」
山崎先生、生真面目にPRされました。
「真面目すぎました?(笑)」
いや、面白いです。
西川四段は、
「唯一の振り飛車党です。女流三人とも振り飛車党ですから、勝負にこだわるなら僕を選んで下さい。」
船江四段は、
「居飛車党とは言え、公式戦の半分は振り飛車を指しています。女性に会わせます。」
と、PRされました。
女流は、皆、振り飛車党ですから、どこに飛車を良く振るかという紹介が中心です。
変わったところでは、井道初段が、「甘党なので、甘い物が好きな人とは合いそう。」って言っていました。

「事前の打ち合わせはありません。これ、ガチですよ。」
と、村田二段が煽ります。
六人一斉にネーム札を上げました。
男性陣は、何と全員が井道初段に集中。
女性陣は、バラバラ。
井道初段と西川四段のペアが確定しました。
残った四人での二回目は、女性陣は同じ棋士を上げ、上手い具合に、室田初段と山崎先生、室谷初段と船江四段のペアが確定しました。
しかし、対局は2組だけです。
そこで、棋士同士がじゃんけん。
これもガチで、3度もあいこでした。
勝った船江四段ペアが対局、負けた山崎先生ペアが解説となりました。

「講座の後だったので、座って休みたかったんですけど。」
と、じゃんけんに負けて苦笑いの山崎先生です。
「ライトで、結構暑いんですよね、ここ。浴衣だともっと大変でしょう?」
と、室田初段を気遣って、解説の始まりです。
ちょっと毒のあるお二人の解説、聞いている方は楽しみです。
山崎先生が、最初に井道初段を選んだのは、「天然で面白そうに感じたから。」だそうです。
見事にペアになった西川四段は、「甘党で合いそうだったから。」と答えていました。
二回とも船江四段を上げた室谷初段は、「明日も一緒に仕事をするので、ここで仲良くなろうと思って。」との答で、笑わせます。

「室田さんは、どうして僕を選んでくれたのですか?」
「山崎先生は、きっと、『私に嫌われている』と思っているのではないかと。だから、違いますよってことで。」
「そう言えば、以前、大石四段たちと話していたときに、『大石さんには大学の友達を紹介できますけど、山崎さんには紹介できません。』って言ってたよね?」
「はい、言った覚えがあります(笑)」
早速、面白くなって来ました。
「男性は純粋にペアを選んでいるのに、女性は『仕事が一緒』とか『嫌ってないですよ』とか、人間関係を考える人ばかりじゃないですか。」
「はい。女性には打算しかありません。」
きっぱり!
会場爆笑。
いい感じです、室田初段。花火の浴衣もかわゆいし。

(棋譜はコチラをご覧ください)

予想通りの相振り飛車戦になりました。
早速、山崎先生が、後輩をいじりに出ます。
「西川君は、と金ができれば、A級八段と言われています。勝つのがうまい。」
「と金ができなかったら?」
「そうですね。弱いです。ただのヘボ。」
いきなりのカウンターに、西川四段、苦笑。
「そう言えば、これは因縁の対決ですね。
順位戦で、負けた方が坊主になると言う因縁の、ね。」
「ああ。」
「髪型を見てもらえば、どっちが負けたかはすぐ分かると思いますけど。」
西川四段、さらに苦笑。
「今日、負けたらスキンヘッドですか?」
「次は金髪でしょう。将棋界では、金髪の方が反響がありますから。」
このイジリ方を聞いていると、西川四段とは、相当に仲が良さそうです。

お互いに三間飛車。急造ペアとは思えないいい将棋です。
「もし対局をしていたら、振られた飛車を元の位置に振り戻してやろうかと思っていました。」
「あー、対局者でなくてよかった。でも、私は負けませんよ。」
「女性は強いですね。僕は、3回ぐらいで折れます。」
そんなに手損して、どうするんでしょう?見てみたかったような・・・(笑)

将棋は32手目に、後手の西川・井道ペアが45歩と角交換を挑みます。
「僕は性格が穏やかなので、▲66歩と角筋を止めますね。」
「ええっ!」
「性格が穏やかなんです。ホントに。良く知っておいて下さいよ。」
「はい。はい、はい。」
「そうしようって気がないでしょう。」
「(笑)」
山崎先生の突っ込みを、室田初段がうまくあしらって、楽しい解説が続きます。

「そう言えば、室谷さんは妹弟子ですよね。」
「ああ、そうですね。」
「どうしてペアとして選ばなかったんですか?」
「いや、妹弟子に『選んでくれ。』ってすがるのは、かっこう悪いじゃないですか。」
「森一門は、お弟子さんがたくさんいますよね。」
「ええ。30人は超えているでしょう。
 僕たちが弟子の時に大変だったから、もう、弟子は取らないと言っていたのに。」
なぜか、「大変だった」に反応して、会場から笑いが・・・(笑)
「室谷さんとは、将棋を指したりしないんですか?」
「いや、ないですね。森一門唯一の女流棋士で、期待されているし、僕は、将来有望な人には近づかないようにしているんです。」
「えっ!?」
「ああ。ですから、西川君、船江君とは、よ〜くつきあっているんです。」
会場、大爆笑。
思わぬところからいじられて、両四段は苦笑したことでしょう。(この時は、顔が見えませんでした。)

43手目を考慮中に持ち時間が切れて、先手はそのタイミングで2分の相談タイムに入ります。
△54飛をほっておくと57に飛車を成りこまれます。
「どうしましょうか?」と室谷初段。
そこへ山崎先生の手が伸びて、そっと▲45金!
「それも考えました。」と応じる室谷初段でしたが、
「でも、飛車に成られて、金ですか?それからどうするんですか!?」
ものすごいことになりそうです。
「これで負けたら、山崎先生が責任を取って下さいよ。」と船江四段。
「いやいや。 僕は好きな展開なんやけどね。」
普通は▲56歩で受けます(67に銀がいる)よね。
「この後の方針は、どうしますか?」と室谷初段。
「あっちこっち歩を伸ばして、圧迫していきましょう。」と船江四段。
あっという間の2分です。
「ずいぶん適当な作戦タイムでしたね。」
作戦タイムをかき回した山崎先生が笑います。

▲56歩に、西川四段が△34銀。
この手に山崎先生がすかさず反応しました。
「うん?▲35歩と追い返されるとわかっての銀ですか?」
▲35歩の後で、後手も持ち時間が切れて、やはり作戦タイム。
「どうすればいいんですか?」と井道初段。
「これがまずければ、43銀と戻せばいいです。」
どうやら西川四段、銀は指し過ぎだったと認めているようです。
「まあ、△44飛や△13角として、3筋や4筋で勝負する構想でもありますけど。」
短い相談時間なので、結果、”攻めて散る”方針になっちゃいました。
「どっちにします?飛車ですか?角ですか?」
「じゃあ、飛車で。」
「その先は、37歩からガンガンですよね。」
いきなり、先手玉の近くで激しい局地戦になりました。
戦前の予想では、攻める船江・室谷ペア、受ける西川・井道ペアのはずでしたが、逆になっています。

20手ほど進むと、どうやら後手の切れ模様になりました。
「船江君の▲55馬は優しいですね。▲64桂と攻め合って一手違いにしてやろうという心遣いです。
 次に▲37香と銀を取るのは、激辛ですね。」
室谷初段の指し手は、その▲37香。笑っています。
「いや、女性の方が厳しいですね。男性は、甘過ぎます。」
と苦笑いの山崎先生です。

87手までで先手の船江・室谷ペアの勝ち。
感想戦でマイクを持った西川四段がうっぷんをぶつけます。
「山崎先生がうるさ過ぎるんです。
 受けていこうと思っていたのに、『弱い、弱い。』と言われてイラッとしました。それで、つい、攻めてしまって。」
西川四段のコメントに、会場は大いに盛り上がりました。関西らしいですね。
「まあ、作戦通りに”攻めて散った”からいいじゃない。西川君の▲34銀以外、悪手はなかったことだし。」
「悪手」をことさらに強調して締めくくる山崎先生も楽しそうでした。

最後のプログラムは、山崎先生と矢内四段のスペシャルマッチです。

でも、その前に、村田二段から急なお知らせがありました。
「お客様の要望で、急遽、対局者連名の直筆扇子を販売します。」
何ですって!
山崎・矢内連名扇子!!
どれだけ並ぶかと思いきや、扇子3本に5人で、当選確率60%の高さ。
しかも先頭に並んだので、当選即山崎・矢内連名扇子ゲットです。
『これを外すわけにはいかないでしょう!お願いです、神様!
 くじは、左端?真ん中?右端?真ん中?・・・』
千々に乱れる心を抑えて、『エイヤ』と真ん中のくじを・・・。
「当選です。」
うわぁー、やったぁ!!
購入した扇子を持った手が、わなわなと震えているのが分かりましたぁ。
将棋の神様、ありがとうございました。
「指導対局のくじが外れて、よかったですね。」
と西瓜さん。
そうなんですね。
指導対局で、くじ運を使わなくてよかったと、僕も思いました。

扇子を購入している間に、ステージ上では対局が始まろうとしています。
インタビューは聞きそびれましたが、何とか着席。
「振り駒の結果、山崎七段の先手でお願いします。」
えっ!?振り駒??
「持ち時間のハンデとかあるんですか?」
と、ひーちゃんさん。
「振り駒をしたくらいですから、ハンデなしでしょう。」
少なくとも、矢内四段の先手だと思っていました。



棋譜を取らなくっちゃと思いましたが、困ったのは直筆扇子でした。
「乾くまで、もう少し広げておいて下さい。」と言われたのです。
ほんとに書きたてホヤホヤ。
「すみません、橙さん。これ、持っていてもらえますか?」
終局まで、橙さんの好意に甘えました。
その将棋、3手目で山崎先生が▲75歩!と三間飛車の意思表示です。
おー、予想外。
「山崎さん、本気で勝ちに来てますね。」
解説の福崎九段もビックリだったでしょうが、矢内さんが一番驚いたことでしょう。

石田流に構えても、▲77角と上がるのが最近の形だそうです。
「室田さんも▲77角と上がりますか?」
「はい。昔は▲97角と上がっていましたが、今は77です。」
「昔って、いつのことなの?」
「ふふっ。」
二十歳そこそこの室田さんに、昔と言われても困りますよねぇ、福崎先生(笑)

31手目に▲65歩と山崎先生、角交換を狙います。
32手目に△同歩の矢内さん、『どうぞ交換して下さい』って応手。
「角を交換して▲83角ですかね。△71飛、▲64角成で馬ができます。」と福崎九段。
「よさそうですね。」と室田二段。
しかし、山崎先生は、▲56銀。
「打ちませんでしたね。▲83角には、△62飛として、▲64角成に△63銀で、実は困ります。」
男性棋士が不利になるように解説して行くのが、解説者の定番なのでしょうが、もちろん、山崎先生はひっかかりません(笑)

その後、34手目に△66歩と、ただの所(77の角でも76の飛でも取れる)へ付き出した歩が好手だったようです。
福崎九段が「これはいい手です。」と激賞しましたし、感想戦で、山崎先生も「読みになかったので、困りました。」と。
ここから流れが速くなり、先に61に飛車を成った山崎先生が攻め、受ける矢内四段も、1筋に勢力を集中して、106手目には、△17銀と打ちこみ、山崎玉を39に追い詰めます。
「ここで1枚金気があれば、28に打って詰みですけどねぇ。」
福崎九段、持ち駒の飛車を手にとるや、28の升目に斜めに置きました。
「これで後手勝ちでしょう。」
場内、爆笑です。
福崎先生、本気モードの中で冗談を言われるので、とてもおかしいです。

山崎先生、109手目▲12飛と王手をして、いよいよ詰めにいきます。
「こうしても、▲34銀からダメですか。」
福崎九段が、詰め手順を解説しています。
ところが、116手目に△33桂と合い駒をされてみると、
「あれっ?!これでは▲45金と打てませんよ。
もしかして、山崎さん、うっかりですか?うっかりでしょう。」
会場内も、『もしかして?!』の雰囲気になります。
『駒が足りなくて大丈夫なのかな?』と山崎先生を見ると、笑っています。
117手目に▲17桂と銀を補充。問題なしなのでした。
きっちりと矢内玉を詰み上げて、山崎先生の勝ちです。

終局後、矢内さんがすぐに愚痴ります。
「少なくとも先手だろうと思って、私が三間飛車をしようと考えていたんです。
それが後手になって、じゃあ、ごきげん中飛車をしようと思ったら、3手目に▲75歩ですから。」
「それで、山崎さん、先手になって喜んでいたんですか。」と福崎先生。
「いやあ。いつも三間飛車をやられているので、景色を変えてみたらどうかと思って。
それに、矢内さんは、左美濃が得意なので、対策を見ようと思いましたが、参考になりました。」
笑うしかない矢内四段です。その笑顔が、とても素敵でしたね。

終始盛り上がったイベントも、これでおしまいです。
運営にと司会にと大活躍の村田女流二段他、女流棋士の皆さま、ゲスト棋士の先生方、ご苦労さまでした。
そして、終了後、たこやきメイトを含むファンのために、しばし会場に残ってお話して下さった山崎先生、本当にありがとうございました。